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SAITO HIROYUKI
Aurora Series
Auroraとは何種類かの小さなガラス製のビーズを称しています。
歴史上の絵画や彫刻のポーズを忠実に複写した女性像や古い作者不明の彫刻を模刻にしたもの、街のシンボルとなる自転車などに手芸用ビーズを施した作品。
物がブレて見えたり、ピントが合わない状態を表しています。
AURORA-Figure-は、厚さ数㎜の木板を肖像のシルエットに切り抜き、10層以上重ねて出来た立体から彫刻したものを素地としており、更にビーズで覆っています。
直径数㎜のビーズを付けた時に完全なボリュームになるよう計算しながら、まるで皮膚の下層を掘り下げるかの様に木彫刻。
ビーズは光の反射と透過性、凹凸を備えているので、角度によって表情が変化します。
彫刻の内部構造とビーズの表層は密接な関係ですが、ドットの効果でブレが生じた関係にも見えます。
「シルエットの複製、幾層にも重なる寄木、計算された木彫」と「ビーズによる煌びやかな表層、人物像の異化」が共存している本作品は、何年もの時間を経て継承されてきた伝統的な一面と、目まぐるしく変化する熱狂的で危うい一面という二面性のある日本の姿を人物像の姿で写し出しています。
AURORA-Bicycle-は、幼少時に見た映画「E.T.」1982年、スティーブン・スピルバーグ監督の作品で、宇宙人E.T.の不思議な力により、主人公の自転車が月をバックに空を飛ぶ有名なシーンがあります。
当時自分が自転車に乗って見た現実の景色や感動は薄れているのに対し、映画のシーンは今も記憶の中に鮮明に残るというこの交錯した感覚を作品にしようと考えました。
4万個以上の手芸用ビーズで覆われた自転車は輪郭がぼやけ、単純化された形と質感は、現実なのか幻なのか相反する中間点に鑑賞者をいざないます。
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